波乗り屋達の休日
まだ十代で就職せざるを得なかった僕は、僅かな稼ぎで会社の拘束時間に耐えて、やっと解放された休日の前の夕方…柵だらけの街を走り抜ける。先輩から3万円で買った、廃車寸前のミニバン落書きだらけで、四隅が凹んだ傷だらけの前輪が車高が低く、後輪に板バネをかました横から見ると運転席側は、低く後ろは車高の高い斜めに傾いたボロボロのミニバンに、君を乗せてサーフトリップに行った…
星や月が近かった あの頃
甘過ぎた時間と 楽しかった思い出…
思い出せば それだけで 何も要らなかった …
程良い波と君が 側に居てくれるのならなんて
そんなメロディーをいつも 口ずさんでいた …
あれは遠く 永く熱かった 日々の記憶
海と空を映す夕暮れのカーブミラー
海に響く切なげなギターの音色
ホテル代わりの海沿いのミニバン
ロマンチックな琥珀色に全て染められて行く
そして甘く溶け出して行く時間と風景
心地良く疲労した身体と心の安らぎ
そして 対価では 現せない自由と幸福感
星が降り始めても 僕等は二人眺めていた
そして 眠り着くまで その時間は好きなだけ続く…
今でも あのカーブミラーは
海と空の風景を映し出しているのだろうか?
思い出せば それだけで 何も要らなかった …
ただ それだけで良かったんだ…
琥珀色の優しい波が砕けて行くそして美しいひと時も、奏でる音楽の曲名は、君の友達 ジェームズテーラーなんかいいですね。まったりとした時間 潮騒に合わせて夕日色の海に似合う、一曲かなぁ。…当時の彼女も、波乗り屋だったので、海でのジプシー生活にも慣れていたので、お気軽に、海へ出かけていました。前にも、このカーブミラーは、作品の中に登場して頂いたにですが…結構、このカーブミラーが、色んな景色を映し出していたので、そしてお友達の様に、その隣に腰掛けたりしていたので、時たま出てくると思いますが、お許しください。春夏秋冬 朝昼晩とその道路と海と空が色んな自然の色彩で映り込むカーブミラー素敵でした。そんな時代、僕の贅沢は、好きな時に程良い波に乗る事だと、いつも思っていました。毎月購読していた、サーフ雑誌に波乗り屋の一生涯に海に行ける回数の事が書いてあり、自分も生まれてからの季節を数える様になりました。日々と時間の中で生きていると永遠とかいつかとか…永く感じるのですが…季節を数え始めると、一つの季節は、人間の生涯のなかに、概ね百回しか巡らないという事です。そこから、引き算なのですが、すでに過ぎてきた回数を引くとすでに、最大あと何度の季節を数える事が出来るか、すぐにわかってしまいますよねぇ〜 人生は長い様で短い…時の世界では、泡沫なものでしょうね。
君の友達 ジェームス・テイラー / You've Got A Friend :James Taylor