気 嵐 (けあらし).

気 嵐 (けあらし)

 

気 嵐 (けあらし)

沖合に浮かぶ木で組まれた筏の上で、釣りをする為に、通い慣れた船宿の船頭を、訪ねた時の事、その日放射冷却が厳しく、風があまり吹かない、寒い日だった。

夜明け前、何時も乗船する桟橋からでは、周りの見通しもかなり悪く、出航の不安を胸に抱いたまま、船頭に大丈夫かと聞く前に、船頭は、船を桟橋まで運んできた、僕等は、当たり前の様に、問答無用で気丈な船頭が出す、ポンポン船に乗せられて、出航した。

警笛を鳴らし フォグライトをつけて、ゆっくりと船は、海面に出来上がったミルク色に煙る、雲海を進んで行くと、近くを通る行き違いの船の光の加減で、海面に、影のお化けが出てきていた。

僕は、寝惚けまなこで、ボンヤリとその光景を見ていた、その時、僕の頭に浮かんできた景色に見合う音色は 、まるで琵琶の音色を連想させられる様な風景が、目前に繰り広げられていた。

 

無風状態の海沿いの まだ眠ったままの街

ミルク色の霧が 立ち込む波止場の風景

薄暗い空には まだ未練を残した
月と星が 霞んだ光を放っている …

得体の知れぬ その美しい光景と危機感

船の揺れ心地といい
眼前を横切って行く霧の群れ

まるで 雲海の中をゆつくりと進む
飛行船を想像させる…

寝惚け目に 朦朧とする夢心地と
脳裏に響く似合の琵琶の音色…

海の色は何時もの見慣れた青色とは違い

パステル調のエメラルドグリーンと変化している

この世の風景とは思えない程の
美しい幻想的風景と化した 大自然の不思議…

初めて遭遇する 神が創り出す光景…

 

 

大自然の幻想的な風景には 時々驚かされる事が、有ります…今回もまた散文になりましたが、この時期に体験した、海の不思議な光景を描きたくて、今回は、気嵐(けあらし)と云う現象の事を描いて見ました。

気嵐(けあらし)は、風が静かで、日中の温度差が激しい時に見られる、幻想的な光景で、海面から蒸気が発生して、霧?雲?が一面を覆う現象で、海に通うことの多い人達は、一度位は経験される事が、あるかも知れませんが、時と場合によっては進行先が、見えないことから危険なので、暫くは出航禁止にになる事もあります。

何度も僕は 気嵐には遭遇しているが、海の色が、青からエメラルドグリーンに変化するのは 初めてだった。

海を覆う辺り一面に広がるミルク色の霧、そして、半分眠ったままの脳裏に、その光景に、似合の琵琶の音色を頭の中で響かせ、在らぬ風景を想像してボンヤリと幻想的な風景を眺めて、海面に出来た雲海を、進んで行った事が、あったのを思い出しました。

この他に、(けあらし)の風景や写真も、結構ネット上に紹介されているので、もし、海の不思議な現象に、ご興味が、ある方は、一度見てみて下さい。



 

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