蛍火
蒸し暑く 月の光が微かに届く夜
目瞼閉じれば 小川のせせらぎの音
夜の帳も降りた頃
静けさに抱かれ 蛍火に導かれて行く
あなたの石鹸の香りと甘い髪の香りを
生暖かい風が 運んで来る
柔らかく小さい あなたの手を引き
何処までも闇の中を歩いて行く
小さな命火を燃やしながら 与えながら
支えながら 刹那の時 命を燃やして行く
無論 愛しさも尊く慈悲深いその炎は
全てを許しているようにも見えた
僕は手で捕まえ 愛しい人の掌にそっと乗せた
その炎は余りにも美しくて そして儚い
その映像は 僕にとって宝になった
そして その思い出は 一生 心に焼き付いている
蛍火は余りにも美しくて…そして儚くて…