桜色の思い出
桜色の緩やかな夜風吹く この小高い公園
何年か前 この場所で 君と別れた
付き合っていた訳では 無かったが
際どく 友達以上 恋人未満 だったね
あの時は 格好付けるのに精一杯で
素直な気持を言えればと 後悔した時もあった
今は 一人でこの樹の下に腰掛けて
暫くの間 懐かしい記憶を再現している
どちらも 不器用で 口数は少な目だった
僕が何か言いかけると 同時に君も話そうとして
気恥ずかしかったのを憶えている
今なら 思う事も少しは話せたのに…
風の便りでは
君は彼奴と 幸せに暮らしていると聞いた
僕は 何と無く嬉しくて それでも少し寂しくて
街の夜景を見降ろしている
ふと 僕の目の前を 薄ピンクの花びらが
夜の闇にゆらゆらと溶けていった…
桜色の思い出は いつも優しく蘇る
そして 誰にでも優しい…
深呼吸すると ここも もう春の匂いがしていた