瑠璃色の記憶
音の無い世界で
君は哀しげに微笑む今 産まれたばかりの
太陽が 紫の空をオレンジに染めて…
風の無い世界で
君は真っ白に輝く光の真昼の海風を受けて
何かを指差し 何かを言おうとしている…
遥か彼方の瑠璃色に輝く天空の隙間
僕は大きく手を振って 君を呼び止める …
デモ…君は応答してくれない…
どんなに呼び止めても 大声で叫んでも…
君はガラス張りの世界の向う側を
微笑みながら走って行く 何かに導かれながら
僕の視界から君は徐々に消えて行く
そして…瑠璃色の薄闇だけが 僕を優しく包み込む
君の姿は 星に導かれ 月の光となり
消えて行ったのだろうか? そんな事を考えながら…
涙で出来た川の向こう側を
歩いて行く君の姿すら 見つける事も出来なくて…
僕がどれだけ老いて 朽ち始めたとしても…
月日がどれだけ経とうとも 風化する事も無く…
色褪せることの無いその鮮烈な記憶は
瑠璃色の映像となり 僕の心を生き続けている…