街明かり
忘れかけた街 偶然に入ったこの店
あの頃 僕が好きだった 彼女と出逢った
何方かと言えば控え目の筈だった 君が
濃いめの化粧が板に付いて
都会的な大人びた魅力さえも感じた
紅を引くたびに 恋を憶え 捨てて来た
君のせめてもの優しさなのか…
目を合わせず 出て行こうとする僕に
待って…と 僕の手を引いていた…
あの時の面影は もう何処にも無かった
ウヰスキー2杯分だけの 思い出を飲み干し
あの頃 僕が好きだった 素顔の面影は
都会の夜のネオン街に 消えて行ったけれど
微かに 僕の手に 君の香りが残っていた
そして街明かりを見上げて 息を吐くと
白く曇った息に 冬の淋しさを感じた…