まるで さよならを言う様に
二人の足跡が消えてゆく
シンシンと降る雪は静かで
何も話しかけては来ない
僕らの暮らしたこの世界を
まるで無かった事にする様に
今はただあなたの吐く息が
白く冷たく悲しかった
口ごもる色んな言葉を吐く様に
白く冷たい悲しい目をしてた
シンシンと降る雪は静かで
何も話しかけては来ない
水銀灯に煌めく雪の粒が
涙の様に静かに降り注ぐ
今はただあなたの濡れた瞳が
白く冷たく悲しかった
それじゃ元気でといい残し
雪が溶ける様に僕の前から
徐々に姿を消して行った
雪に残されたメッセージは
僕の肩に積もり心に染み込んで
言葉の無い別れを納得していた
何もかも別れる理由を承知して、彼女は彼の見送りを受けて雪の中を、最後に一緒に歩いている。お互い心を残したまま、別れ言葉は言わずに、自然な形で別れて行こうとしていた。夜の水銀灯に反射した雪が、やけに淋しく冷たく悲しかった。元気でと最後の一言を彼女が言った後、無口な別れは終幕を引いた。でも、彼女の口ごもっていた言葉を、彼は肩に積もった雪で悟る事ができた。その雪は、冷たく悲しかったけれど彼女のメッセージとして、温かく心に染み込んで行った。
彼は辛かったけれど、無口な別れでも、これで良かったと納得できた様だ。